葛西昇竜
略歴(クソ長いので選手能力が見たければスクロール推奨)
彼は愛知のある畳屋の家に生まれた。子供のころからドラゴンズファンの父親に育てられ、自然と彼も野球が好きになった。だが、彼は体の大きさの割に運動神経には恵まれておらず、最初は期待されるものの段々とメッキが剥がれ、気づけばチームを追いだされ......ということを繰り返していた。
彼はある日、友人のたかし君の親が経営するチームに招待される。そこは勝利より野球を楽しむことに重点を置くチームで、下手なプレーをしても馬鹿にされることなくのびのびと野球を楽しんでいた。
だが、彼が小学校3年の時の大会。彼のチームは県下最強と謳われるチーム「刈谷イソギンチャクズ」に333-4で大敗してしまう。試合後、葛西は号泣していた。『俺がもっと強ければ、お世話になっているこのチームを勝たせられるのに......!』
その日から彼は変わった。自分を受け入れてくれたチームのみんなに報いるために、少しでも強くなろうと。そこで彼が編み出したのが「1日1万球 感謝の全力投球」だった。一時チームを抜け、毎日のように壁当てを続けた。だが、彼の眼にはちっとも球がよくなったようには映らなかった。
ある日のことである。久しぶりにチームの仲間に練習に誘われた彼は、自分が変わっていないことを知られるのを渋りつつもそれに参加した。まずは何となく投球練習から始めることにした。たかし君がマスクも付けずキャッチャーについた。(彼もきっと侮っていたのだろう)葛西はなるべく球が速く見えるように思い切り腕を振った。すると......
ドガバギグシャベコーン!!!!
ボールは不可視の速度でたかし君の顔面に突き刺さった。飛び散る鮮血。騒然とするグラウンド。「お、おい......」「早く救急車を!!」練習を見ていた大人たちの表情が青ざめる中、葛西は瀕死のたかし君の元へと走り寄った。
「た、たかし君......嘘だろ......僕のせいで......」
「お前は、間違っちゃいない.......俺実は知ってたんだぜ?お前が毎日1万回壁当てしてたこと......だから......」
「じゃあなんでマスクを着けなかったんだ!」
「......成長したお前の球を、よく見たかったのさ。頼む昇竜。俺の代わりに......プロに......入っ......て」
そこでたかし君は事切れたのだった。
この事件はプレー中の事故としてみなされ、葛西が罪に問われる事は無かった。その後彼はたかし君の遺言を守り、中学球界でエースとして君臨する。そんな彼にも青春がやって来た。クラスの隣の席の女の子、美里ちゃんと恋仲になったのだ。
ある日、屋上で二人は将来の夢について語り合っていた。
「ねぇ、葛西くんは将来何になりたい?」
「俺はやっぱ......プロ野球選手かな」
「へぇ、カッコイイじゃん!私応援するよ!」
「......友達との、約束だからな。んで、美里ちゃんの夢は?」
「わたしは......漫画家、かな。人を感動させられるような漫画が描きたいの!」
「いい夢じゃないか!これはどっちが先に自分の夢で他人に夢を与えられるか、競争しなきゃな!」
「うん!じゃあ、ここで誓いの握手しよっか!」「ああ!」
これに彼が応じてしまったのが悲劇の幕開けであった。
ベキボキペリボリボリィィッッ!!!
「きゃああああっっ!!」中学に入ってからも鍛錬を続けていた葛西の握力は、すでに女性一人の手くらいならば意図せずとも粉砕してしまうほどに鍛え上げられていた。結局この時の複雑骨折の影響で、美里は二度とペンを持つこともできなくなってしまった。
「違う......俺が欲しかったのは、こんな力じゃない!!!!」
その日から彼はプロになる約束以外のすべての感情と思い出を捨て、「人間野球サイボーグ」として生きる道を選んだ。......二人の友の夢を奪ってでも、彼の約束を果たす旅は続く。
パワナンバー 10300 00556 46346
選手としては
最速171㎞/hの直球を武器に君臨するリリーフエース。コントロールは筋肉のおかげで意図せずともほぼ完全に姿勢を制御できるのでタイプの割に良好。変化球も曲がることには曲がるが、早すぎてすべてH球種認定を食らってしまう。だが超パワーの代償として、30球肩を患っている。そして技術面も独りよがりな練習によりイマイチ。そう、彼は悲しき「人間野球サイボーグ」。
編集後記
マイライフ産の選手を眺めていたらアホみたいなストーリーが下りてきたので書いてみました。きがくるっとる